身近な材料で染める

藍で染める。藍染めの原料となるのは「たであい」というたで科の1年草で、かつては重要な換金作物でした。

農村部の紺屋は、自前で藍染めの原料である藍玉(あいだま)を作ることも多かったようです。かつて紺屋であった柏市の農家の藍玉作りは次のようでした。

春,彼岸の頃、苗床に種まきをします。5月頃、15センチ程に伸びたら、5本ずつを1束にして畑に移植します。土用の頃に刈り取り、押し切りできざんでから天日干しします。9月、花の咲く頃、2回目の刈り入れをします。

百姓が暇になると、「そろそろ藍でも寝かすべや」と、藍玉作りが始まります。藍床(あいとこ)という土壁作りの小屋に干した藍葉を積み上げ、水をかけると、葉は発酵・発熱・分解してぼろぼろな土状になり、これをうすでついて藍玉にして保存します。写真は匝瑳市の染物店でかつて作った藍玉です。これを砕いてから藍がめに入れて使います。

草木で染める

かつて手紡ぎ・手織りをやっていたお年寄りでも、糸を草木で染めるところまでやった人はなかなかいません。藍染め以外は綿糸に草木は染まりつきが悪く実用性に乏しいので、ほとんど紺屋へ出してしまうからです。

千葉県内で木綿染め技法が残っているのは、館山市の館山唐桟です。布衣風衣ではここの技法を参考にしながら、やまもも・きはだ・えんじゅ・さくら・うこん・こぶなぐさなど、身近にある材料で染めています。